靖国神社から封書が届いた。開けてみると、前宮司の退任と新宮司の就任の挨拶状。「此(こ)の度(たび)、靖国神社宮司を退任致しました」「11月1日を以(も)ちまして宮司の重責を拝命致しました」型通りの文言が並ぶ。
読んでいて何とも言えない悲哀を感じた。
祖国の危急存亡の日に、尊い一命を捧げられた英霊たち。
その英霊たちに深く御心を寄せられ、あらゆる困難を踏み越えて、
戦跡への「慰霊の旅」を重ねて来られた天皇陛下。その陛下のご真意を、あろう事か、
靖国神社の宮司たる人物が全く理解出来ていなかった。天皇陛下のお気持ちによる勅使のご参向を仰いだ
10月の例大祭では、宮司が謹慎の為に祭典への参列が許されないという、
異例の事態を招いた。靖国神社の歴史上、恐らく前代未聞の不祥事ではないか。
今の日本の衰えを映し出すかのような、余りにも残念な情景だ。
但し新任の山口建史宮司は、同氏が神社本庁の教学部長をされていた頃から
存じ上げている。靖国神社の権(ごん)宮司としても手腕を発揮されていた。
今の危機的な局面を立て直すには相応(ふさわ)しい人材だろう。来年の同社ご創建150年という節目を、
良い形で迎えられるよう期待したい。勿論、私も何かお役に立つ事があれば、
及ばずながらご助力は惜しまないつもりだ。